日本財団 図書館


 

?支援体制の整備
これまでに述べてきたように、コンテナ輸送の海上・河川へのシフトは単に渋滞を解消し輸送効率を上げるといった輸送の分野の問題というよりも、エネルギー問題、環境問題、災害対策への対応といった様々な問題に対応するものであり、極めて公共的側面が強い。近畿圏におけるコンテナ輸送の海上・河川へのシフトを実現するためには、輸送に適した船舶の購入・開発、コンテナ施設の建設、橋梁の架替、河川港の整備等の施設整備が必要であり、また、事業者の採算べ一スに乗りにくいものであるため、事業者に対する事業費補助も必要であるなど、国・自治体が積極的な支援体制を構築しなければ実現はむずかしいと考えられる。
現在のところ、モーダルシフトに対する国の取組みは各省が独自に行っているケースが多く、十分な連携が図られていないものと思われる。上述のようにコンテナ輸送の海上・河川へのシフトは各省の所掌を越えた様々な問題の解決に資するものであり、また、当然これらの問題には各地域固有の事情が存在するものであるため、各省及び自治体が連携を十分に行い、共同で推進する体制を構築する必要がある。さらに、支援体制についても、現状では港湾施設の整備等一部のものに限られており、コンテナ輸送の海上・河川へのシフトといったモーダルシフトの推進には十分なものとは言えないため、環境対策、災害対策としての位置づけを積極的に行い、多様な支援方策を検討する必要がある。
近年、阪神・淡路大震災や国道43号の訴訟問題を契機として、環境対策、災害対策としてのモーダルシフトの重要性が見直されてきており、このような流れをさらに押し進める必要がある。
?事業主体の検討
?で述べたように、コンテナ輸送の海上・河川へのシフトは極めて公共的な側面が強く、実施に当たっては船舶の開発・購入等多額の費用を必要とするだけではなく、事業自体も民間の採算べ一スには乗りにくい性格を有している。また、純然たる民間事業者に対しては事業費補助等の支援体制もとりにくいことから、第3セクター等公的主体による事業運営を検討するべきである。
?規制緩和の検討
海上・河川輸送を取り巻く規制の緩和もコンテナ輸送の海上・河川へのシフトを促進するための一助となろう。
無論、阪神間のような短距離におけるコンテナの海上・河川輸送のコストが高い原因を全て現行の規制に委ねることは適切ではなく、規制緩和により、陸送に対抗し得るだけの

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION